1歩1歩、確かめるように。
読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
         

既読、未読、無気読スル―

日常

パンツ一丁上裸を天井に向けて寝る晩から、毛布一枚上裸の首元まで上げて寝る晩に移行してから数日経った、そんな季節の移ろいを身をもって感じ始めた初秋。
3ヶ月連絡つかずの友達に送った、「明日空いてる?」のLINEに既読が付いた。

 

自分の性格とか、本質などは他人に判断できるものではない。
さらに言えば、自分自身にだって判断できるものではないと思う。
できることと言えば、「~だと思い込む」ことくらいだと思う。
例えば、貧乏で地味だった人が、富や名声を手にしたらとんでもない悪の化身になってしまう人。
普段は温厚で紳士的だと思っていた人が、お気に入りの服を汚された瞬間、突然激昂してしまう人。
こういう場合考えられるのは2つあると思う。

「環境が人を変えてしまった」

「環境が変わったことによって、人間の愚かさが露呈した」

僕は後者の考え方をするタイプだ。
僕はよく遅刻をする。堂々と言えたことではないが、僕はよく遅刻をする。
携帯電話を持ったことによって、時間にルーズな面が露呈したと思う。
固定電話しか持たなかった時代は、家を出たら連絡手段が皆無になるので、絶対に約束通りの時間・場所に「到着しなければ」という固い意志が芽生える。
携帯電話を持つと、その意志が弛む。いつ・どこでも連絡ができるので、こちらも安心だし、相手も不安になることはない。よって遅刻をする。
友達に、「文明の利器の弊害だよ」、こっちも困ってるぐらいだ、と言い訳すると、
「持ってない時からそうだった」、と返されたのも考慮すると、やっぱり、僕は元々時間にルーズな奴で、文明の利器に依存することによって、疑念が、確信に変わっただけのことなんだと思う。
もう少し厳密に表現、というか、深く潜って考察すると、僕は、「時間にルーズ」を包含している、「マイペース」なんだと思う。
だがこれも、「マイペース」という言葉をある意味でいいことだと捉えてしまっている節が僕にはあり、それを自覚したあたりから、僕のマイペース振りが発揮してきたようにも思える。つまり、「マイペース」と「思い込む」ことを始めたあたりから、「マイペース」然としてきた感があるようにも思えてきたということである。
元々マイペースなのか、言葉先行なのか、もはや、「鶏が先か、卵が先か」的に訳が分からなくなってきたので、話を軌道修正します。

僕は、束縛を嫌うタイプであると思い込んでいる。だから他人を束縛するようなことはないとも思い込んでいる。ただそれとは別に、せっかちなので、友達にLINEを送って、既読がつかないと、さらに言えば、返信がないと気になり出す。
だから最初は、「遅いな~、なにやってるんだろ」と相手を非難する感情しか芽生えない。それが、2、3日、さらに1週間程経つと、相手の現状を心配しだす。
恐らくこれも文明の利器がもたらした弊害というか、功名なのか、相手を心配するという、聞こえのいい表現をするなら、「思いやる」という感情を実感できたように、自分にもその感情があったんだと思える機会を与えられたと思う。
あと、自身の経験から、不幸というのは、本当に虚を突いてくるもので、なんの前触れもなしにやってきて、一瞬のうちに暗澹の色で覆いつくす。
だから、3ヶ月も連絡が取れないと、本当に心配になる。
だから、LINEだけじゃなく、電話もした。だが、コールが続くばかりで一向に出る気配はない。
共通の友達にも連絡させたが、結果は同じ。というより、その友達はコールすらならず、「この電話番号は現在~」のアナウンスが聞こえたというから、友情格差を確定させないよう、あいつはだらしない奴だよなー昔からさ。と気まずい空気を払拭させたりした。
そんな連絡が取れなくなった初夏から初秋のある日、ダメ元で、梨の礫の友達にLINEをした。


「今日夜空いてる?」 17:49

「明日なら空いてる」 17:49


おいおい、即答じゃねえか。

次の日、居酒屋で、その友達に訳を聞いてみた。

「俺さ~仕事忙しすぎるとなにもかも面倒臭くなって寝ちゃうんだよね」
「あと、なんか人間関係に縛られてるのもいやでさ」

何個かツッコミたかったが、最後の「人間関係に縛られてる~」の下りは、僕は少し苛立ったし、ショックだった。
自分は、束縛なんかされたくないし、しているつもりもないでお馴染み自分です。という自己紹介アピールをしろと言われれば、やぶさかではないくらいのスタンスでやってきたつもりの僕に、そんな屈辱的な発言をしてくるとは思っていなかった。
思っていなかったが、ただ、「LINE」を使用しているシステム上、またもっとメタ的な「繋がれる社会」の文明の利器に依存してしまっている自分を考えると、その気はなくとも、相手を知らずに縛っていたのかもしれない。
はたまた、それは相手が勝手にそう思い込んでいるのかもしれない。

世の中、「思い込み合戦」だ

なんて、そんなことを思い、いつ上裸からスエットに移行して眠ろうかと考えながら、
毛布を首元まで上げて眠りにつこうと思います。

下はパンツ一丁で。